よこはま乳がん学校とは

 

 

    日本では毎年10万人以上の女性が新たに乳がんと診断されています。検診の普及と治療法の進歩により、いまや85%以上の患者さんが乳がんを克服できる時代となりました。一方で近年の乳がん診療では、国の「がん対策基本計画」にも示されるように、「がんになっても夢や希望を叶えたい」というサバイバーシップの視点が一層重要です。「乳がんは治った。でも仕事を失い、夢をあきらめた」――そのような結末では、長い闘病の日々が報われません。私たちは患者さんの想いと価値観を医療者が共有し、「乳がん克服後」の未来を見据えた治療戦略をともに描くことが、真の患者中心の医療だと考えています。その実践には、医師だけでなく看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、管理栄養士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなど、多職種による継続的なチームサポートが不可欠です。

よこはま乳がん学校は2007年7月、「患者中心のチーム医療を推進する」ことを目的に設立され、これまで15回の講座を開催してきました。約20年にわたり「明日からの臨床で活用できるチーム医療」を掲げて活動を重ね、本年春までに全国から1,124名の医療者が本プログラムを修了しました。さらに青森(2012年)、沖縄(2015年)、にいがた(2022年)乳がん学校の共催を通じて地域に根ざした実践を広げ、全国で2,330名を超える修了生が各地でチーム医療の先駆者として活躍しています。

本講座の最大の魅力は、多職種が同じ講義を受け、学びをその場で実践に落とし込む体験型である点です。

第16期は、24名の講師陣による26テーマのe-learningに加え、2日間のグループワーク(模擬診療チーム)を実施します。横浜・名古屋の現地会場に加え、全国各地をWebでつなぎ、多職種が互いの専門性を持ち寄って学び合う、熱量あるディスカッションの場を創ります。

がんと闘う患者さんとご家族に、少しでも多くの「元気」と「勇気」を届けられるよう、皆さんとともに患者中心のチーム医療を育てていきたいと願っています。本講座が皆さんにとって実り多い学びとなることを心より祈念いたします。

 

 

NPO法人神奈川乳癌研究グループ 理事長 兼 よこはま乳がん学校 代表

昭和医科大学医学部外科学講座 乳腺外科学部門 教授

昭和医科大学横浜市北部病院 乳腺外科 教授/診療科長

千島 隆司